Ⅰ 未来マーケティング [先見力]

 三十代になってから、私は自分のやっていることをできるだけ本に残してきました。
 最初の本は、マーケティングの会での講演後に受けた依頼でまとめた「フューチャー・チャネリング-感性で読むマーケティング」、老舗の(中央経済社)からの出版でした。ここで私はこれからの世の中、そして仕事と人との関係を中心に未来論を述べました。

Ⅱ 仕事術 [ツール力](手帳、ポスト・イット、メモ術、ITネットワーク)

 音響・芸術の専門学校に加え、文化関係の研究所をいくつも兼任、嘱託していた私の仕事の方法を書くように頼まれて生まれたのが、「究極の手帳術」でした。情報で仕事をするための方法(”TF式情報処理術“)を手帳とポストイットというツールを使い、説明しました(昨今の手帳術ブームを、10年以上早く先取りしていました)。主として、発想、創造のための仕事術を述べました。これが5万部のヒットとなったため、「仕事術」の路線がひかれました。
 その後、上司、部下間や、組織での情報の扱い方を延べた「能率手帳で情報を10倍いかす法」ほか、結果として10冊ほどの私の知的生産術となりました。さらに、自宅と会社と出先を情報網で結びつけるためにマッキントッシュを導入したのを機に、「マック(マッキントッシュ)の仕事術」シリーズを手がけました。

 創造性を発揮する、つまり、クリエイティブたるために、パーソナルとオフィシャルは区別できないという私の考えが思想化されるとともに、ツールとして、その両域にまたがる手帳と、マックを選んだわけです。大切なのは、パソコンの名の意味するパーソナルというところです。これらは、後に「ニフティ仕事術」「デジタル手帳仕事術」といった一連の著作となります。

Ⅲ 表現術 [書く力、話す力]

 私は、表現として、話すこと書くことを自ら実践し、その大切さを述べてきました。企業出版のための「社長の本」(北宋社)、自分のための出版「自分の本を出すための本」(ウイーグル)、これらは、広告より広報へ、商業出版より自費出版へという流通再編プロセス改革を目的としたものでした。
 その仕上げが、「ビジネスは書く力で決まる」(二期出版)[後に、「書く力が身につく本」(PHP研究所文庫)]で、2冊目のベストセラーとなりました。(現在『「書く力」が仕事力を高める!』(KKロングセラーズ))
 この書く力に、よりパワフルに通信機能を加えたのが、タイプしネットワークする力であり、マックというIT技術の導入となり、「リエンジニアリング」、「マルチメディア」関係の仕事に結びついていきました。
 そこで、私は事務所だった一軒屋(2F、築35年)1階スタジオ、2階サロンを引き払い、マルチメディア(ライブハウス型)スタジオをつくりました。(1997~2002年)現在は近くの一軒家型です(2002~)。[すべて代々木駅2分]

Ⅳ 研究活動 [クリエイティブ力]

 クリエイティブな仕事環境との関わりを研究した「ライフワークの見つけ方」(日本能率協会マネージメントセンター)、「一芸は身をたすく」(ビジネス社)では、ビジネスマンやOLにも、新しくアーティックな生き方“ビジネスアーティスト”を提案しました。
 「朝型人間はクリエイティブ」(ビジネス社)は、自らが二十四時間をクリエイティブに使うための研究をまとめたものです。「仕事術の基本がわかる本」(大和出版)、「20代で勝負がつく88の鉄則」(PHP研究所)、「ビジネス闘争論」(二期出版)は、これからの人に、単に仕事を会社の仕事としてでなく、クリエイティブな生きがいと捉え、自分の仕事をやることを説いたものです。(後に「会社の使い方」(ダイヤモンド社))

Ⅴ 人の場、サロン [人脈力]

 私はサロン文化をクリエイティブな場として捉え、FS(フューチャーサロン)やCWP(クリエイティブライタープロデュース研究会)などを主宰しました。とともに、創造工学研究所・中山正和氏の“ちえの会”など、いくつかの大きな勉強会の幹事を兼ねていました。
 そこから、「流通サービス新聞」の立ち上げから勉強会と主催者の記事を2年間にわたり連載、「自分づくりの勉強会」(にっかん書房)にまとめました。「人脈づくりハンドブック 全国勉強会リスト」(PHP研究所)で、企業と全く違う横のネットワーク型組織の研究をしました。共著者の下村澄氏の「知恵の輪」にも協力しました。「講師250人ガイド」は、私のその人脈を中心にまとめたものです。NHKのラジオのホストとして、連日、多くの方を招き、対談しました。
 一芸ある人びとや数多くのオーナー、起業家、勉強会の主宰者は、まさにクリエイティブな人たちであり、ビジネスアーティストであるとの考えでした。

Ⅵ 海外渡航と芸能活動 [アート&ライブ]

 二十代より、放浪ぐせのついていた私は、欧米中心に全世界を探訪し、訪れた国は40代前半で、50カ国を超えました。日本の旅も全都道府県を探訪しおえ、ほぼ再訪に入りつつあります。(後に、キューバ、ジャマイカ、アルゼンチン、ブラジルまで)
 マルチメディアの自営放送局を目指したライブハウスのスタジオでの声のトレーニングは、一般向けから、プロ、専門家まで、学校兼研究所として25年を迎えます。ライフワークとしては、ヴォイストレーニングに作詞、作曲も手がけています。
 起業家、サロン主催者、アーティストなど、クリエイティブな人とのつながりは、芸能、マスコミも含め、私の活動を広汎なものにしています(歌手、役者、声優育成など)。千住さんの紹介で、日本デザイン会議に参加、鴻上さんのプロデュースするワークショップにも出講していました。
 とにかく皆、表現しようよ、Be Artist という提言をしてきたのです。

Ⅶ 自立できる人間教育 [起業ベンチャー支援]

 マーケティングでは、マックからニフティサーブ仕事術、ニフティでは、そこでの勉強会フォーラムを主宰し(ニフティのIPでした)、サロン活動(2005で終結)、「マルチメディア活用ハンドブック」で次代の教育論を提唱、サラリーマンには「あなたが始めるリエンジニアリング」(実業之日本社)から「会社の使い方」(ダイヤモンド社)まで、自立した仕事をすることを提唱しました。それはベンチャーブームとあいまって、パソコンやインターネットの可能性にいち早く気づき構築しました。これは20代からの起業家入門」(実務教育出版)を出版、「起業家精神入門」、「同通信講座(JTEC)」などになりました。
 CSK大川功社長、双葉電子工業 衛藤五郎社長、タカラ佐藤安太社長、日研フード越智社長、現代人間科学研究所の飛岡健氏の未来予測学など、ここで述べられぬほど多くの方と仕事を行ない、表現活動を続けるにいたっています。
 勉強会は、全国ネットの「知恵の輪」に関わり、その主宰者である下村澄先生と発行しました。
 書く力は、文章術の本に、スピーチ術は、講演500回を自らこなしつつ、(「心をギュッとつかむスピーチ術」)、これも多くの先生方に学びました。「感性の鋭くなる本」で感性の研究、「集中力がいい人生をつくる」では集中力についてまとめあげました。
 こうしてみると、現在のスピリチュアルブームなど、新しい世の中に向けて、私が述べたり、行なってきたことは、そう外れてはいないものに思われます。

Ⅷ 21世紀になって [能力開発]

 私の母体だった会社、学校、研究所は、後進の運営、指導になりつつあります。
 海外訪問はインド、ブラジル、アルゼンチン、キューバと、BRICSへ。香港、マカオも再訪。
 執筆本は100冊を超えたところです。(2010年現在)
 人間関係論は「人間関係の本質を見分ける72の法則」(成美堂)を書き下ろし、その他、速読、文章術、仕事術などをまとめています。


        
             [1995年「あなたが始めるリエンジニアリング」(実業之日本社)の前書きを修正]
                            
[W1/071214 W2/081207 W3/100314 W4/110425 改訂]



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【福島哲史 私の仕事とライフワーク】